リヨン・オペラのカルメンを聴くことができた。いやーホントに久しぶりなのだった、実演は。嬉しかったのである。
しかしその演奏は編集者にとって必ずしもヨロコバシイものではなく、どこか「キレイゴト」のような感じが。もう少し洒脱さというか、気の利いたところがあっても良いだろうに、と。ナガノ氏のまとめ方は優等生的で、コーラスも含めてよく制御・抑制の行き届いた演奏も、それはそれで良いのだが。
こういう演奏だから、二幕の五重唱とかはまぁ期待通りであったわけだが。で、肝心のカルメンはというと、例のフォン・オッターが歌ったわけだが、何だか優等生が無理をしてクズレている感じなので、ホセが身を持ち崩していく説得力がイマイチ。編集者にとってのカルメンは、いかにもステロタイプながら「ちょっと流し目をくれただけで、男どもがヨロヨロとスリ寄っていき、終いにはどいつもこいつもズタボロにされちまう魔性の女」というイメージだから、こりゃチョット違うかも。
というわけで、編集者にとってのこの演奏は、何かこう非常にストイックなカルメンでありましたとさ。
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