編集日記(1999.05.24分)

東越谷編集日記

 『さよならバードランド』ビル・クロウ著 村上春樹訳(新潮文庫)。
 ビル・クロウはジェリー・マリガンのバンド等で活躍したジャズ・ベーシスト。編集者的にはあまり馴染みのないひとだが、バードランドを巡るバンドマンのエピソードがなかなか楽しそうだったので読んでみた。で、もう一気に読み切ってしまった。面白い。意外な人の意外な一面、ってのはこのテの本では良くある話だが....
 クラシック音楽ファンにとっても興味深いお話がいっぱいある。まず、著者はニューヨーク・フィルの主席ベーシストに師事した、というエピソード。またヴァレーズが自作のためにバンドマンを集めて実験をあれこれした話。バンドマンは緊張して、ついつい畏まってしまうが、ヴァレーズは「もっと出鱈目にやれ」と言ったとか。また、ベニィ・グッドマンのソビエト・ツアーで演奏された『ラプソディ・イン・ブルー』にソリストとしてつき合ったバイロン・ジャニスの話もなかなか凄い。中身はぜひご一読の程。ベニィ・グッドマンって割と人の好さそうな、と思っていたが、けっこう自己顕示欲の強いわがままなオッサンだったことも分かる(^_^;)。
 この本に続いて、文春から文庫化された『告白』を読みかけているが、こちらも凄い。著者は大和銀行が海外業務からの撤退を余儀なくされた事件の張本人だが、こんなに読ませる文章を書ける人なのか。それとも事実がやはり小説より凄いからなのか。
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